立春 初候

東風凍を解く(はるかぜこおりをとく)

2月4日〜2月8日頃

春の風がゆっくりと氷を解かし始める頃

東風は春の代名詞です。一般的には「こち」と読みますが、七十二候では「はるかぜ」と読ませています。東風は春風の総称で、さまざまな事象と組み合わせて、そこに広がっている情景をこまやかに伝えることができます。

たとえば真っ赤な椿が咲いている日は椿東風(つばきごち)、桜が咲いたら桜東風(さくらごち)、ひばりが鳴く日は雲雀東風(ひばりごち)。サワラ漁が始まる頃の鰆東風(さわらごち)、ブリの幼魚が漁れる頃はいなだ東風。

朝東風(あさごち)、夕東風(ゆうごち)。空高く吹き渡る風は高東風(たかごち)。吹き荒れる強風は荒東風(あらごち)、雨混じりの日は雨東風(あめごち)といいます。実際に春風の方向は日によってさまざまで、いろんな方向から吹いていますが、正東風(まごち)は真東から吹く風のこと。

東風吹かばにほひをこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな  菅原道真

立春を迎えると、梅の花がほころび始めます。ほのかな梅の香りを運ぶ風は、梅東風(うめごち)です。春立つ今日から、ぜひ東風(こち)の豊かなバリエーションを感じてみてください。春は風とともにやってきます。

~生きる、72の季節~/東風凍を解く

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