立秋 次候
寒蝉鳴(ひぐらしなく)
8月13日〜8月17日頃

七十二候では寒蝉を「ひぐらし」と読ませていますが、本来の寒蝉(かんせん)は法師蝉(ほうしぜみ)、もしくは立秋後に鳴くセミを総称する秋の季語です。
晩夏から鳴き出す法師蝉の別名はツクツクボウシ。「オーシーツクツク、ツーーー」と長く引く声は、終わりゆく夏の安堵と哀愁を感じさせます。夕方にはコオロギが鳴き始める日本の初秋は、昼も夜も虫の音に包まれ、とてもにぎやかです。
蜩(ひぐらし)の別名はカナカナ。6月末頃から9月まで鳴いていますが、薄暗い場所を好み、早朝と日暮れの涼しい時間にだけ鳴きます。ましてや立秋をすぎると、より一層、もの悲しく、涼しげに感じます。
暗い林では昼間でも大勢で鳴いていますので、「カナカナカナ」の大合唱はまさに音を浴びるような「蝉時雨」です。
セミの鳴き声は種によってそれぞれ異なり、季節と共に変化していきます。初夏に鳴くエゾハルゼミ。午前中に「シャワシャワシャワ」と鳴くクマゼミ。午後の暑い盛りを好んで鳴くアブラゼミやミンミンゼミ。そしていよいよツクツクボウシが鳴き始めると、夏も終わりに近づいています。
蝉(せみ)は夏の季語ですが、法師蝉(ほうしぜみ)や蜩(ひぐらし)は秋の季語で、秋蝉(あきぜみ)とも呼ばれます。本来の「寒蝉」は法師蝉をさしていたと思われますが、日本人の感性として涼しげで切なく感じる蜩も、いつしか秋の季語となり、日本の七十二候ではヒグラシのルビが添えられています。