立秋 末候
蒙霧升降(ふかききりまとう)
8月18日〜8月22日頃

朝夕の涼しさが増してくる頃、山や水辺にはうっすらと霧が立ち込め、秋の深まりを感じさせます。
この季節は次々と台風が続き、また冷たい空気とあたたかい空気がぶつかる秋雨前線の影響で、しとしとと雨が降ることもあります。そんな雨上がりや、昼夜の寒暖差が大きいときに霧が生じます。景色を優しく包みこむ霧は、湿度の高い日本ならではの現象です。「朝霧は晴れ」ということわざの通り、朝に霧が出た日は、日中の気温が上がり、快晴になることが多いのです。
霧(きり)は空気中の水蒸気が小さな水滴となって漂う現象で、春は霞(かすみ)、秋は霧と名を変えます。
春霞かすみて去(い)にし雁(かりがね)は
今ぞ鳴くなる秋霧の上に ―紀友則 『古今和歌集』
春、霞の中を去っていった雁が今、帰ってきて秋霧の上で鳴いている、と詠んだ歌です。立秋「蒙霧升降(ふかききりまとう)」(8月18日頃)は、雨水の「霞始靆(かすみはじめてたなびく)(2月24日頃)」と対になっている七十二候のひとつです。