芒種 次候
腐草蛍と為る(くされたるくさほたるとなる)
6月10日〜6月15日頃

入梅(にゅうばい)を迎えると、水辺のホタルがひとつふたつと舞い始めます。ホタルが成虫として生きられる期間はわずか1、2週間。生命の神秘を感じさせてくれる日本の夏の美しい風物詩です。
ホタルの幼虫は一年近く水中で暮らし、カワニナ(巻貝の一種)を食べながら成長しますが、土がやわらかくなる雨の日に水から上がってきて、土の中にもぐりこみ、数週間、さなぎの期間を過ごします。穴の中で羽化し、這い出てきたホタルは濡れた草の上でしばらく休んでから、静かに明滅を始めます。
このときに土が乾いて固くなっていると出てこられなくなってしまうこともあります。順当に降る梅雨の雨は日本人にとって田植え後の苗を育てる大事な雨であると同時に、ホタルの生存にとっても不可欠な雨です。
ホタルが飛び始める頃に咲く花が、ホタルブクロです。この名前は昔、子どもがホタルを入れて遊んだことに由来し、提灯花の別名もあります。ホタルを見る機会は少なくなりましたが、この花を見ることでホタルの季節を知ることができます。