立夏 初候

蛙始めて鳴く(かわずはじめてなく)

5月5日〜5月9日頃

蛙の声が聞こえる頃

田んぼに水が引かれると、すぐに蛙たちがやってきて卵を産みます。蛙たちの繁殖期です。昔に比べて全国的に湖沼が少なくなった今、田んぼは命をつなぐための大事な場所になっています。日本の水辺はすぐにたくさんのおたまじゃくしで溢れ返ります。

日本固有のアオガエルはシュレーゲルアオガエルとモリアオガエルの2種。どちらも鮮やかな緑色の蛙です。水辺にやってきて白い卵嚢を浮かべるシュレーゲルアオガエルは「ココココ」と、優しい声で鳴きます。

一方、シュレーゲルアオガエルは樹上で暮らすアオガエルです。木の枝先に真っ白な卵嚢を作るため、若葉の中に白い大きな花のように見えていることがあります。ちょうど孵化する頃、雨で必ず水の上に落ちるような場所に上手に作られています。

雨が降りそうになると鳴き出すのは、ニホンアマガエル。同じく緑色の身体ですが、こちらはアマガエル科です。小さな身体ですが、「クワックワックワッ」と大きな声で鳴きます。

初夏は白い花たちの季節です。山ではウツギ、ミズキ、ヤマボウシなど、新緑に映える白い花が次々と咲き、ホトトギスのさえずりが聞こえ始めます。

昔の人は春はウグイスの「初音」、夏はホトトギスの「一声」を待ち侘びました。

~生きる、72の季節~/蛙始めて鳴く

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