立夏 末候

竹笋生ず(たけのこしょうず)

5月15日〜5月19日頃

竹の子の力を誰にたとふべき 凡兆

筍の季節。山椒の葉をのせた筍飯、ワカメと一緒に炊く若竹煮。ゆがいたり、焼いたり、その新鮮な美味しさに、日本人の多くが毎年舌鼓を打つ初夏の味です。

すべてのものに「走り」があり、「旬」があり、「名残」がありますが、まさに筍の旬は年に一度だけ。土から顔を出すか出さないかの一瞬の採りどきを逃せば、たちまち伸びて食べられなくなってしまう食材。皮をむいたり、灰汁を抜いたり、人の手が加わった優しさがほのかな甘味に含まれています。

「筍」の文字は竹冠に旬です。「旬」という言葉は食材の最盛期を意味する言葉として使われていますが、始まりは紀元前の古代中国で十干(じっかん)を日で表したもので、各月の上旬、中旬、下旬というように元々は十日という単位を意味する言葉です。

筍に限らず、野菜や魚の旬も、花の旬も、意外と短いものです。1週間もするとすっかり変わってしまい、食べ頃や見頃を逃してしまうことがあります。季節は日々めまぐるしく変化しています。

「竹の秋」は、初夏の季語です。地中の筍を育てる親竹たちは疲れが出たかのように葉を黄ばませ、降るようにたくさんの葉を落とします。その中からすくすくと青竹が伸びていきます。

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