立夏 次候
蚯蚓出ずる(みみずいずる)
5月10日〜5月14日頃

春に孵化するミミズは、夏になると本格的な活動期を迎えます。ミミズはせっせと土を食べ、窒素やリンを含んだ栄養豊富な糞を排出します。団粒構造を作るその糞は小さな微生物たちの格好の住処となって、「黄金の土」と呼ばれるほど豊かな土壌を作ります。健康な土には1グラム中に1億もの微生物がいるといわれています。
ミミズが土を耕すことは古くから知られていました。ミミズが動き回ることで土中には通気性や保水性がもたらされ、人間たちが鍬を入れなくても、ふかふかの土を作ってくれることを昔の人はよく知っていたようです。日本では「自然の鍬」と呼ばれてきました。
「大地の腸」と名づけたのは生物学に精通した古代ギリシャのアリストテレスです。英語名はearthworm、「地球の虫」です。進化論で知られるダーウィンは晩年をミミズの研究に捧げ、石の上でミミズを飼って数年もすると何センチも土ができていくことを確認しました。まさにミミズは肥沃な大地を作り、耕す縁の下の力持ちです。
初夏は常緑樹の落ち葉が多く、新しい葉と入れ替わりに古い葉を落とします。これを常磐木落ち葉(ときわぎおちば)といいます。落ち葉の下にはミミズを始め、たくさんの生き物が棲息し、腐葉土を作ってくれています。目立たない小さな生物のおかげで、私たちの暮らしが成り立っています。