小寒 末候

雉始めて雊く(きじはじめてなく)

1月15日〜1月19日頃

キジは日本の国鳥で、里山のひらけた草地や農耕地に暮らす身近な鳥です。その美しさもさることながら、オスが勇敢で、メスは母性愛が強いことも国鳥に選ばれた理由とされています。

キジが「ケーン」と鳴いた後、羽ばたいてバタバタと大きな音を出すことを「母衣(ほろ)うち」といいます。「けんもほろろ」はオスが懸命に求愛してもメスが応じず、素っ気ない様子からできた言葉です。

キジの雄叫びや羽ばたきは、外敵に対して自分の存在を誇示するためでもあるのですが、狩猟においてはそのために居場所を知られ、撃たれてしまうことが多いことから「雉も鳴かずば撃たれまい」ということわざができました。

「頭隠して尻隠さず」という表現もキジが危険を感じて草むらに隠れても長い尻尾が出ていることからできた言葉です。キジに関する言葉が多いのは、それだけ身近な鳥だったということでしょう。

一方、メスは母性愛の強さで知られ、敵が近づいても毅然としてヒナを守り、火のついた野原でも逃げずに巣を守ろうとすることから「焼野の雉」という言葉があります。まだ求愛には少し早いのですが、寒さの中で聞こえるキジの声は高く、鋭く響くことでしょう。

関連する七十二候