小寒 初候

芹乃栄う(せりさかう)

1月5日〜1月9日頃

セリは春の七草のひとつ。まだ寒い内から互いに競り合うように伸びるのがセリの名の由来です。太古の時代から食用とされ、早春の「若菜摘み」を代表する野草です。

日本には元々、年の初めに野に出て、身近に自生する若菜を摘んで食べる「若菜摘み」の風習がありました。現在のような冬野菜が存在していなかった時代、早春の青菜はビタミン不足を補える貴重な栄養源でした。

セリはもっとも古くから食用とされてきた日本原産の植物で、香りがよく、整腸作用があり、免疫力をあげる、体温を上げて冷えをとる、体に溜まった老廃物を排出するなど、さまざまな薬効があります。

君がため春の野に出でて若菜摘む 我が衣手に雪は降りつつ 光孝天皇

昔の人は雪間からのぞくわずかな草を摘みに出ました。この日本古来の若菜摘みと、中国から入ってきた一月七日に七種の菜類を入れた羹(あつもの)で無病息災を願う人日の節供が習合し、江戸時代に広く定着して、今日の七草粥となって伝えられています。

~生きる、72の季節~/芹乃栄う

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