立冬 末候
金盞香(きんせんかさく)
11月17日〜11月21日頃
中国では中央の黄色い部分を盃(さかずき)に、白い花びらを銀の台に見立てて、水仙を金盞銀台(きんせんぎんだい)と呼んでいました。
また雪の中で咲くことから、江戸時代には「雪中花」の名で呼ばれることが多かったようです。水仙は「格花(かくばな)」とされ、生花の世界ではもっとも格の高い花であり、正月の床の間に飾る「真」の花として定着していました。
「真っ白な雪の中で咲く白い花」は、俗世から離れた「清らかさ」の象徴として愛されてきました。品格のある香りを放つことも、尊ばれてきた理由でしょう。
日本水仙(ニホンスイセン)は、平安末期に中国から伝来した帰化植物です。地中海沿岸が原産地ですが、シルクロードを経由して流れ着いたものが野生化したと考えられており、越前海岸など日本各地の沿岸部で群生地が知られています。寒中でいち早く花を咲かせ、芳香が強いのが特徴です。
一方、金盞花(キンセンカ)も平安時代に伝来しており、寒さに強いことから「冬知らず」の名で知られていました。黄色やオレンジ色の小ぶりな本金盞花(ホンキンセンカ)はちょうど11月頃から咲き始めます。江戸時代にはすでに広く普及していたようで、冬の庭に彩りを添えていたといいます。
宝暦暦(ほうりゃくれき)の改暦に携わった暦学者、西村遠里はこの七十二候について「金盞香とは金盞花のこと」と書いていることから、文字通り、金盞花ではないかとも言われています。本金盞花はちょうど今頃に咲き始め、日本水仙が咲くのはまだだいぶ先ですが、どちらにしても冬の風物詩であったことには変わりありません。

