霜降 末候

楓蔦黄(もみじつたきばむ)

11月3日〜11月7日頃

七十二候の「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」は霜降の末候。紅葉とは、樹木が自ら光合成をやめ、ゆっくりと休眠へ向かい始める姿です。

万葉集にはこんな歌が残されています。

十月(かんなづき)時雨にあへる黄葉の 吹かば散りなむ風のまにまに

黄葉と書いて「もみじば」と読みます。「もみじ」という言葉は、布を染液に浸し、揉み込んで染める「揉みつ」に由来し、「揉み出づる」という意味を含んでいます。そのため「もみじば」は赤だけでなく、黄葉も含めた言葉なのです。

紅葉は立冬を迎えると一気に進んでいきますが、今はまだ始まりの時期。緑の葉がうっすらと黄ばんでくる季節です。山では樹木に絡みつくツタウルシ(蔦漆)やヤマウルシ(山漆)が他の木々に先がけて紅葉し、燃え上がるような赤を見せています。

「山粧う(やまよそおう)」は秋の季語です。中国の画家、郭熙(かくき)が絵を描く心得として伝えた「山笑う、山滴る、山粧う、山眠る」という詩文に由来し、日本では四季を表す季語として親しまれてきました。やがて山々は黄、橙、赤、紫と錦の織物のように複雑に染め上がっていきます。

晩秋から初冬にかけて降る時雨は、その色合いをいっそう深めます。雨に濡れて光を含んだ紅葉は、散り際にあってなお美しく、終わりへ向かう中でこそ輝く、自然界の静かな美を伝えています。 

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