冬至 末候

雪下麦を出だす(せっかむぎをいだす)

12月31日〜1月4日頃

「雪下出麦」は冬至の末候で、第二十四候(5月31日)の「麦秋至(むぎのときいたる)」と対になる一候です。初夏に収穫を迎える麦は秋に種を撒き、冬にはすでに青い芽を出しています。そのため麦は「年越草(とこしえぐさ)」とも呼ばれてきました。

麦の芽や地の暦日のいつはらず 素逝

冬枯れの中、青々と続く畦の緑は、今年も無事に暦通りに動いていると確認できるものであり、目を細めて眺めるような春への希望を感じる風景だったことでしょう。

麦は冬の間に「麦踏み」をします。しっかりと圧をかけることで分蘖(ぶんけつ)を促し、収穫量を多くすることができます。日本の麦は収穫期の雨や風で倒れやすくなるため、背丈を抑える必要があり、麦踏みの風習は日本独自の農法なのだそうです。

麦踏みは人の子育てにも例えられることがあります。小さい頃にしっかりと手をかけて育てられた子供は大人になってもへこたれず、たとえ苦労があっても、その経験を糧にしていける強い人間になりますが、甘やかして過保護に育ててしまうと、大人になったときに打たれ弱い人間になってしまいます。

厳しい寒さを乗り越えていく麦の芽。そして爽やかな夏の風にサワサワと揺れている麦の穂。麦は苦労を経験したからこその人生の実りとも重ねられているようです。

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