冬至 次候
麋角解つる(しかつのおつる)
12月26日〜12月30日頃

ニホンジカが角を落とすのは春になってからで、実際に冬至の頃に角を落とす動物は、ミールー(麋鹿)という大型のシカです。
ミールーは中国の絶滅危惧種で、日本ではシフゾウ(四不像)と呼ばれていました。ニホンジカの平均体重が45〜100キロですが、シフゾウの体重は150~200キロ。かなり大型の鹿です。野生のシフゾウは一度、絶滅しましたが、奇跡的に繁殖に成功し、日本の動物園でも見ることができます。
四不像の名は「鹿のような角を持つが鹿ではなく、牛のような蹄を持つが牛ではなく、馬のような顔を持つが馬ではなく、驢馬(ろば)のような尾を持つが驢馬ではない」ことからつけられた名前で、日本では伝説の神獣でした。
鹿は古くから天地創造の生命樹と共に描かれ、復活のシンボルとされてきました。龍や麒麟など、色々な動物の特徴が混ざり合った空想上の神獣には、どれにも鹿の要素が混ざっています。こうしたことからも太古の時代から鹿が神聖視されていたことが伺えます。
神鹿の角が落ちるイメージはまさに陰極まって陽に転じる冬至の、再生を思わせる空想的なシーンです。実際に鹿の角は古くから滋養強壮、寒気改善の生薬として用いられ、強さの象徴、魔除けとして用いられてきました。