啓蟄 末候
菜虫蝶と化す(なむしちょうとかす)
3月15日〜3月19日頃

モンシロチョウが舞い始める
花を求めてひらひらと舞う蝶にうららかな春が見えます。菜虫とはモンシロチョウのことです。モンシロチョウの幼虫はアブラナ科の葉のみを食草とするため、日本では長らく「菜虫」と呼ばれてきました。
日本には奈良時代、ダイコンと一緒についてきて全国に広まったと考えられています。ダイコン、カブ、キャベツ、ナノハナ、ブロッコリー、コマツナ、ハクサイ、クレソンなどアブラナ科の野菜はたくさんありますが、アブラナ科の葉を食べられる虫はごくわずかです。
モンシロチョウと人間が作るアブラナ科の野菜は、数千年かけてできた共生関係にあります。野菜の普及とともに世界中に生息地を拡大することができたのがモンシロチョウです。とはいえモンシロチョウの幼虫は鳥やカエル、ハチなど天敵が多く、成虫できるのは約1割ともいわれています。
カメムシではナガメ(菜亀)が唯一、アブラナ科の葉を食べて成長します。モンシロチョウに似た日本古来の在来種はスジグロチョウですが、畑の野菜ではなく、野生のアブラナ科を食草とするため、中山間部に生息しています。