春分 次候

桜始めて開く(さくらはじめてひらく)

3月25日〜3月29日頃

日本の桜は自生種が100種以上、改良種が200種以上あり、咲く時期もさまざまですが、気象庁が桜の開花指標にしているのはソメイヨシノ(染井吉野)。

ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラから作られた栽培品種で、江戸末期の染井村の植木職人によって全国に広がりました。毎年、桜前線が発表され、南から北まで咲く時期は異なりますが、関東では毎年七十二候「桜始開」の日付がほぼそのまま当てはまります。

ソメイヨシノが咲く直前には必ず寒の戻りがあります。ぐっと冷え込む数日が訪れ、開花の勢いが一旦止まった後、一気に気温が上昇した晴天の日に、あれよあれよという間に満開になり、満開を迎えると同時に、はらはらと散り始めます。美しく、儚い桜の見頃を待って、人々はぞろぞろと外へ繰り出します。それぞれに立ち止まり、花を愛でながら歩く人々の光景は平和そのもの。

今年もまた無事に花見ができた幸せをそっと噛み締め、春を寿ぐ人々の姿もまた目のご馳走です。

~生きる、72の季節~/桜始めて開く

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