春分 初候

雀始めて巣くう(すずめはじめてすくう)

3月20日〜3月24日頃

スズメは人の近くに棲むことを選んだ鳥。アフリカから全世界に広がり、人と暮らすために茶色と黒の地味な色に変化していったと考えられています。

スズメは春、相手を決めると群れを離れ、協力して巣作りに励みます。スズメの巣の材料はイネ科の草。食べているのも主にイネ科の雑草の種ですが、ハコベの若葉や木の実、そして子育て中は虫をとってきてせっせと与え、じきに咲き出す桜の盗蜜も行います。スズメの抱卵は十日間ほど。孵化してからは2週間ほどで、巣立ちを迎えます。

この一候はスズメに限らず、小鳥たちが繁殖期に入る目安でもあります。天気のよい日、高らかに歌い出す小鳥のさえずりに耳を傾けてみてください。「ツツピー、ツツピー」と鳴くのはシジュウカラ、複雑に長いメロディで歌うメジロ。ウグイスの「ホーホケキョ」もだいぶ上手になっています。小鳥たちのさえずりが聞こえ始める頃、雀の巣作りも始まっています。

~生きる、72の季節~/雀始めて巣くう

~生きる、私の季節~/切り絵画家 久保 修 編

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