小雪 末候

橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

12月2日〜12月6日頃

七十二候は小雪の末候「橘始黄」を迎えました。冬枯れが進むなか、常緑の葉に包まれた柑橘類の実が大きくなり、ひときわ明るく目に映ります。その姿に、昔の人は不思議な生命力を見ていました。

『古事記』には、田道間守(たじまもり)が不老不死の実「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」を求め、常世の国へ旅した物語が記されています。それは橘の実であったと伝えられ、田道間守はお菓子や蜜柑の神として祀られるようになりました。タチバナの名は、タヂマバナ(田道間花)に由来するともいわれています。

橘や金柑は万葉の時代から風邪の薬として知られ、蜜柑の皮は陳皮として今も生薬に用いられています。「季節を問わず香るお菓子」を意味する非時香菓は、まさに冬に実りを迎える柑橘の姿そのものです。

黄色は希望の色、太陽の色です。日差しが弱まる季節に、果汁たっぷりの大きな実をつける柑橘類は、まるで小さな太陽のよう。やがて迎える冬至のゆず湯もまた、湯船に浮かべる太陽の形代(かたしろ)として、冬の体と心をあたためてきました。

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