大暑 次候

土潤いて溽し暑し(つちうるおいてむしあつし)

7月27日〜8月1日頃

梅雨が明けると、朝から気温がぐっと上がり、ミンミンゼミが勢いよく鳴き始めます。風もほとんどなく、蒸し暑い日が続く日本の本格的な夏の始まりです。「炎天」「灼くる」という季語もあるように、灼けるように熱くなった鋪道からはゆらゆらと陽炎がたちのぼり、木陰の涼しさがとても有り難いものに感じます。

「溽暑」は蒸し暑さをあらわす言葉で、和暦の水無月(7月頃)の異称にもなっています。日本の夏は湿度が高く、まさに「溽暑(じょくしょ)」という言葉がぴったりです。時折、夕立も降るので大地は潤い、草木はますます繁茂します。

夏の始めから咲いているのはピンクのサルスベリ(百日紅)で、名前の通り秋口まで百日間、咲き続けます。ノウゼンカズラ(凌霄花)は空を凌ぐように咲く花の意で、フェンスを這い登って涼しげなオレンジ色の花を咲かせています。キョウチクトウ(夾竹桃)も暑さに強く、梅雨明けから長く咲き続けています。

そんな炎暑の中でも、自然界はかすかな移ろいを見せています。真っ赤なモミジアオイ(紅葉葵)やふわりと大きな花びらを広げるフヨウ(芙蓉)は、晩夏から初秋にかけて咲く花です。そしてミンミンゼミやアブラゼミに混じって「オーシーツクツク、オーシーツクツク、ツー」と鳴くツクツクボウシの声が加わると、夏も終わりに近づいてきたことの証です。ツクツクボウシは立秋をすぎてから最盛期を迎えますので、寒蝉(かんぜみ)ともいいます。暑い暑いと言いながら、暑い夏が終わっていく、せつなさを感じる晩夏です。

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